『原発難民の詩』 佐藤紫華子の詩

佐藤紫華子さんの詩集『原発難民の詩』を読んだ。

【原発難民】

仕事がありますよ
お金をたくさんあげますよ

甘い言葉にのせられて
自分の墓穴をほるために
夢中になって働いてきて
原発景気をつくった
あの頃・・・・・・

人間が年をとるのと同じように
機械も年をとるということを
考えもしなかった
技術者たち!
ましてや
大地震、大津波に
襲われるとは・・・・・・

地震国であり
火山国であるという
基本的なことを忘れてしまった末路か・・・・・・

私たちは
どこまで逃げれば
いいのだろうか
追いかけてくる放射能
行く手を阻む線量

見えない恐怖!
におわないもどかしさ!
聞こえない苛立たしさ!

私たちは安住の地をもとめて
どこまで
いつまで
さすらうのだろう

【ふるさと】

呼んでも 叫んでも
届かない

泣いても もがいても
戻れない

ふるさとは
遠く 遠のいて
余りにも 近くて
遠いふるさと

あのふるさとは
美しい海辺

心の底の
涙の湖に ある

佐藤さんは「逃げている間は夢中で、何が何だかわかりませんでしたけど、どうにか落ち着きを取り戻してホッと息をつきましたら、恐ろしくて、悲しくて、たとえようのない切迫感におそわれて、何かしなくてはいられませんでした。それが詩となってあふれ出たのです」と詩を書くようになった理由を記している。

原発事故直後、世間での「原発利権」と「脱原発利権」や「ネット右翼」と「デモ左翼」による二項対立に違和感を感じるなか、小出裕章氏の原発事故に対して「今回のことにしても、単純なことであって、弱者が虐げられているという、そのことだけです。別に放射能の問題でもなければ、原子力の問題でもない。本当に弱い立場の人たちが虐げられるということです。そのことに私達一人ひとりがどう立ち向かうかという、それだけのことでしかありません」と語った言葉に感銘した。それは今も変わりない。

自分の豊かな暮らしのために誰かの犠牲がある
しかし原子力ムラは無罪放免そして再稼働

原発が再稼働し、信頼が失われた社会でのなかで一日一日を正しく生きるために、マザー・テレサの「小さなことに誠実になりなさい。その中にこそ、私たちの力はあるのですから」の言葉を思い出す。自分自身の戒めとし、小さな灯りで暮らしている。

(2017年7月19日)

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