多くの者が辻潤という底なし沼にハマるという。
辻潤という意味とは何だ!
近代社会は金太郎飴のように、どこを切っても同じようなものだ。
政治は無策で腐敗し、企業は資本を独占し庶民との格差は広がる。
社会は閉塞し不安は広がり、誰もが救世主を待望する。
若者たちは煩悶し、弱者は切り捨てられる。
変革を求めた革命家は権力に圧殺される。
権力は暴力だ。ならば、革命も正義も権力なのか。
幸徳秋水、大杉栄、和田久太郎、金子文子が好きだ。
自由と平等、弱者の味方だからだ。
石川啄木、種田山頭火、尾崎放哉、金子光晴が好きだ。
自由と放浪、自ら死ななかったからだ。
中原中也、野村吉哉、陀田勘助、ドン・ザッキーが好きだ。
自由とダダ、時代を笑ったからだ。
辻潤という意味とは何だ!
貧しい社会を変えるのではなく、貧しい社会に変えられないために。
奥歯が潰れるまで絶望し、底を掘り進め。
そして、ホレーショを超えて行け。
自由を生きろ! 自分を生きろ! 絶対死ぬな!
辻潤という意味とは何だ!
さあ、辻潤という底なし沼の探検に出発だ!
「タンカ」 辻潤
雲を喰らい、霞を呑むんでいるとでも
大方思っていやがるだろう
ゴミのような雑誌に
ロハで原稿を書かせやがって
往復ハガキさえよこせば
キット返事をよこすものだと
思っていやがる ヒョットコメ!!
おれは毎日水をガブガブと呑んで
その辺の野原から雑草をひきぬいて
ナマでムシャムシャ食っているのだが
——別段クタバリもしない
一度や二度飯が食えないと
もうふるえあがりやがって
黄色いシナビタ声を張りあげやがって
ナンダカンダと抜かしやがる
スットコドッコイのトンチキ野郎の
ヒョットコメ!!
(以下一節略)
(2018年1月10日)