岡真史

岡真史(おかまさふみ)1962〜1975
東京都生まれ。作家の高史明、当時高校教師であった岡百合子との間に誕生した。たいへんな読書家で、愛読書はサン=テグジュペリ『星の王子さま』、ルナール『にんじん』、ミハイル・イリーン『人間の歴史』であった。また、夏目漱石の『こころ』も12歳にして読み、没後詩集に掲載された逸話からも繊細な感性の持ち主であったことがうかがわれる。
1975年7月17日夕刻、近所の団地で飛び降り自殺。12歳9ヶ月であった。父である高史明が『生きることの意味』を発表しわずか半年余りのことだったが、動機は全く不明である。また、足跡が無かったため団地の何階から飛び降りたのかも分からなかった。

『岡真史詩集 ぼくは12歳』岡真史(江筑摩書房/1976)

【人間】
人間ってみんな百面相だ

【ひとり】
ひとり
ただくずれさるのを
まつだけ

【じぶん】
じぶんしじんの
のうより
他人ののうの方が
わかりやすい
みんな
しんじられない
それは
じぶんが
しんじられないから

【ぼくはしなない】
ぼくは
しぬかもしれない
でもぼくはしねない
いやしなないんだ
ぼくだけは
ぜったいにしなない
なぜならば
ぼくは
じぶんじしんだから