大石和雄(おおいしかずお)1936〜
京都うまれの、京都の住み人である大石和雄さんの詩は、京都の風、花、雨、夕焼けをふくめた暮色といっていいのではないでしょうか。この人がニヒリストであろうかどうかということは、どうでもいいことのようです。大石さんの詩情に秋がきて、冬がきて、やがて春がくればそれでいいのではないでしようか。彼の詩をサカナにして、一献、いかがでしよう。(『まのびしたらいふ』辞/高木護より)
『まのびしたらいふ』大石和雄(白地社/1979)
『死にもしないでいる』大石和雄(『虚無思想研究』編集委員会/1990)
【暮らし】
きのうも
きょうも
何んのための一日だったのか
たいらな一日に
顔をおしあててみたが
やはり一日は一日に変りがなく
いい知恵など出てきはしないし
どうという事もなく暮れ
ほっとぬぎすてた靴下が何んのこともなく
私の足の格好をしているのを
じっとみつめながら
さみしくからだをかいている